英ポンド/円相場は、134円台前半まで値位置を切り上げ、今年の最高値を更新した。ポンドに目立った買い材料が存在する訳ではないが、主要通貨に対する円安傾向が続いていることで、ポンド/円相場も堅調地合が維持されている。
ユーロ/円市場では、ユーロ経済の減速リスクを改めて織り込む動きも見られたが、ポンド相場に対する影響は限定された。最近の英経済指標を確認しておくと、10月の貿易赤字は95億3,900万ポンド(前月は83億6,800万ポンド)まで拡大、10月鉱工業生産は前月比-0.8%(同-1.7%)、製造業生産は-1.3%(同+0.1%)など、低調な数値の発表が目立った。11月失業者数が前月比-3,000人の158万人と予想外の減少になったことがポジティブ・サプライズだが、英経済に対しては総じて慎重な見方が優勢である。こうした状況は12月5~6日のイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)でも指摘されていたが、改めて英経済の減速リスクが確認される中、本来はポンド売りが膨らんでも違和感はなかった。比較的早い段階に追加金融緩和に踏み込む可能性が高く、決してポンドの相場環境が良好という訳ではない。
しかし、足元ではそれ以上に円売り圧力が強いことで、ポンド/円相場は上値追いの展開を維持している。何か新しい材料が出てきた訳ではないが、引き続き日本銀行の緩和姿勢強化に対する期待感が強く、円売り圧力に対する修正が先送りされている。16日に衆院選の投開票を控えているが、安易に円買いポジションを保有するリスクは高い状況にある。ある程度割り切った上で、ポンド買い・円売り方針を継続せざるを得ないだろう。
今後1週間の予想レンジは、132.00~135.50円。